新橋人形の館 館主の日記

燃えサントラ&泣きロック酒場 BAR 新橋人形の館 館主の日記です。

ゾンビとサメは、メタル愛好家である。

動物と音楽に関する「ザ・マイス・フー・シング・フォー・セックス:アンド・アザー・ウィアド・テイルズ・フロム・ザ・ワールド・オブ・サイレンス」という、カタカナで書くとやたらと長いタイトルの文献によれば、サメはヘヴィメタルやハードロックを好んで聞くそうだ。

サメに耳はないが、サメは身体の受容体により振動を「聞く」ことができ、ヘヴィメタルの低音の振動の波に惹きつけられるらしい。  

   f:id:ningyounoyakata:20191231095912j:plain

オーストラリアのサメツアーのオペレーターであるマット・ウェラー氏は、水中スピーカーでデスメタルを流すとホホジロザメをおびき寄せることができ、曲を流すとサメがボートに向かって泳いでくることに気づいた。

そして、ホホジロザメは、特に地元オーストラリアのハードロック・バンドであるAC/DCの「You Shook Me All Night Long」や「If You Want Blood (You Got It)」が大好きで、曲が流れているとサメたちがとても穏やかな様子で、サメの行動がいつもより好奇心に満ちた感じになって、まったく攻撃的でなくなると言っている。   

    f:id:ningyounoyakata:20191231095928j:plain

しかし、「オーストラリアの海域以外に生息するサメにもAC/DCの曲が有効であるのか」。

と、この件に関して、僭越ながらロックバーの一種である(サブカル部門とも謂われる) 新橋人形の館 館主である私が持っているこの疑問の解決については、スピルバーグ監督の映画「ジョーズ」(1975年)で、アメリ東海岸アミティの海に突如出現した巨大人喰いザメを相手に、地元漁師の船オルカ号に乗って死闘を繰り広げたロイ・シャイダー(警察署長)、ロバート・ショウ(オルカ号船長)、リチャード・ドレイファス海洋学者)の3人のうち、現在唯一故人ではないリチャード・ドレイファスにお任せしたいと思う。

f:id:ningyounoyakata:20191231095943j:plain  f:id:ningyounoyakata:20191231100003j:plain

   このシーンを再現したフィギュアは館主のお気に入り。

一方、もはや生物でも動物でもない存在だとは思うが、ゾンビもまた、ロックを流すと音楽に惹きつけられることに気づいたのが、映画「悪魔の毒々パーティ」(DANCE OF THE DEAD /2008年)で、大勢のゾンビ・オーディエンスを相手に演奏しまくったガレージ・パンク・ロックバンド、”クォーター・パンクス“のメンバーであるハイスクールの男子生徒3人だ。 

f:id:ningyounoyakata:20191231100021j:plain f:id:ningyounoyakata:20191231100351j:plain

彼らは校内でのバンドオーディションに落選したため、プロムの夜、パーティでダンスを楽しむ全校生徒の前で演奏することは叶わなかった。

しかし、彼らは「俺たちクォーター・パンクスが演奏できないプロムなんて誰が行くもんか、糞食らえ!」とヘソを曲げ、イカした女子チアリーダーのお誘いも袖にして、プロムのパーティには参加せず、男子3人でガレージ・ロックすることを選んだ(大好きだ、そういう純粋バカ)。

本作の劇中、彼らは図らずも演奏していたロックの音によって、練習場所のガレージに大勢のゾンビを呼び寄せてしまったのだが、集まったゾンビ達は彼らのロックに聞き惚れて、ゆらりゆらりと音に合わせてその身を揺らし、演奏中には噛みつきも喰い千切りもしないことに気づいた。

クォーター・パンクスの3人は、何と救出部隊が到着するまで5時間も、ぶっ通しで演奏しまくることでゾンビに食われることなく、無事ガレージを脱出できたのだ。

f:id:ningyounoyakata:20191231100404j:plain  f:id:ningyounoyakata:20191231100420j:plain

そしてガレージから脱出してプロムの会場へ向かった彼らは、叶わぬ夢であったプロムのステージに立ち、プロムのパーティに参加して噛んだり噛まれたりの仲になってしまった大勢のゾンビ・カップルに恋のチークダンスを踊らせることに成功し、ゾンビという聴衆に感謝したのだ。

f:id:ningyounoyakata:20191231100510j:plain f:id:ningyounoyakata:20191231100540j:plain

   「ゾンビのみんな、ありがとうよっ!」

以上のことから、ゾンビとサメには深い因縁があると言える。

その因縁に己の本能だけで気づいて、もはや伝説となったゾンビ対サメの海底対決シーンを撮ったのが、映画「サンゲリア」(ZOMBIES 2 /1979年)の監督 ルチオ・フルチだ。

f:id:ningyounoyakata:20191231100556j:plain  f:id:ningyounoyakata:20191231100610j:plain

このゾンビVSサメの海底対決の只中で、海中スピーカーからAC/DCの「You Shook Me All Night Long」を流せば、ゾンビもサメも両者共に闘争心を失い、さらに、クォーター・パンクスのガレージ・ロックを流せば両者は抱き合って踊りだしてしまう可能性もあるのではないか、と大晦日にコタツでミカン、片手で鼻ほじりながら気づいたのは、いかにも私、新橋人形の館 館主 いとう である。

f:id:ningyounoyakata:20191231100644j:plain

 

新橋人形の館 ホームページはこちら

yakata-ningyou.webnode.jp