新橋人形の館 館主の日記

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千に一丁の銃「ウィンチェスター銃 ′73」

「スー族がカスター部隊を全滅させた。スー族は賢い。スプリングフィールドが単発だと知っていた。再装填する間を与えずに、第2波さ。」

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エスタン映画「ウィンチェスター銃’73」(1950年 アンソニー・マン監督)は、”千に一丁の銃”と呼ばれる名銃ウィンチェスターを我が手にしようと、その行方を追いかけ、闘う男達の愛憎劇。

劇中では、父親を殺して家を出た兄を追い続けている弟(ジェームズ・スチュワート)が、賞品に名銃ウィンチェスターを懸けた射撃大会に出場し、偶然兄と再会、射撃で勝利したものの、賞品のウィンチェスターを兄に強奪され、再び逃げられてしまう。

追いかけっこの旅の途中、たまたま其処にいた其奴が身に着けているウィンチェスターを巡り、あの手この手で其れを奪い去って行くという、持ち主リレーを繰り広げる。

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スプリングフィールド1800年代初頭に軍用に開発された単発銃であり、後に誕生したレバー・アクションであるウィンチェスターは、12~17発もの弾を弾倉に込めることができる連発銃である。

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銃撃戦で追い詰められ形勢不利になった場合、チャンスは相手のライフルが空になり一発ずつ弾を込めているその時間、その隙だ。そして片やその隙に相手にチャンスを与えぬよう、ひたすら弾を込め続ける。この緊張感が、本作の山場である兄弟対決のシーンを盛り上げる醍醐味となっている。

ウィンチェスターⅯ73は、フィンガー・レバーを倒すことによって弾薬を薬室に押し込むレバー・アクション・ライフルで、ウィンチェスターⅯ1866通称イエローボーイに次いで、1873年に開発された。

レバー・アクション・ライフルとしては、スミス&ウェッソンが1860年に開発したヘンリー・ライフルが先輩格で、この映画の劇中でもインディアン部族による襲撃への応戦シーンで、ヘンリー・ライフルがウィンチェスターに対抗する存在である事を匂わせる台詞のやりとりがある。

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しばしば白人と戦い、1876年にカスター将軍の部隊を全滅させたことで知られるインディアン部族、スー族はその戦いでウィンチェスターを使用した。

ラコタ・スー族の勇猛果敢な戦士として歴史に名を残しているクレイジー・ホースもこのウィンチェスターを手にしたのだろう。

スー族がカスター将軍の部隊を倒した名誉ある銃を我が手に!と、本作の劇中でたまたま白人が身に着けていたウィンチェスターを命もろとも奪い去るインディアン部族の心理は当然なのかもしれない。

最後にこの銃の持ち主になる、持ち主に足る者は誰なのか、この名銃ウィンチェスターを身に着けるのに相応しいのは誰なのか。

主演のジェームズ・スチュワートは「めまい」「裏窓」など、ヒッチコック映画の常連という印象が強いが、ジョン・ウェインと共演した「リバティ・バランスを射った男」、レイア姫キャリー・フィッシャー)の母デビー・レイノルズと共演した「西部開拓史」、本作「ウィンチェスター銃’73」の監督アンソニー・マンとのコンビで撮った「怒りの河」「ララミーから来た男」等、西部劇にも多く名を連ねている。

西部劇のヒーローでありながら、顔立ちも体格も決して屈強ではなく、眉間に皺を寄せた無敵の一匹オオカミではない、それがジェームズ・スチュワートの無類の非凡さ、カッコ良さだ。

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「めまい」(Vertigo)といえば、ソール・バスがデザインしたこのポスター。

ロックバンドU2のヒット曲「Vertigo」も収録されているCD、Official music videoの映像もまた、グルグルしたこんな感じだ。

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12月4日(水)、5日(木)、さいたまスーパーアリーナでの来日公演が迫っている。

 

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