
木製 KISS Ace Frehley "Spaceman“
10月16日、ロックバンドKISSの旧ギタリスト、エース・フレーリーが74年間の人間歴に幕を下ろした。
予てより、2023年をもってKISSは実体による50年間の活動を終了し、その後はアバターによるデジタルバンドとして活動すると発表していた。
時空を超え、アイデンティティを超え、人間としての生老病死を超え、永遠のキャラクターとして存在し続ける。
KISSのお騒がせメンバー、エース・フレーリー、”Spaceman" がそこにいるかどうかはわからないが。
ドラマ版『エースをねらえ!』(2004年テレビ朝日系)では、「内野聖陽が宗方コーチになり切っていてヤバイ!」そうだ。

アバターの手を借りずに、宗方コーチになり切った内野聖陽氏!
では、フィジカルな老館主が、手っ取り早く「JK・岡ひろみ」になる方法をあれこれ考えてみよう!

ー 息子はヴァーチャル・フィギュアで母親の心を「再現」できるのか ー
小説『本心』 平野啓一郎 (2021年 文藝春秋)
現在とあまり変わりないくらいの近未来。
30歳の青年が、「自由死」(合法的な自死)を選択した70歳の母親の死後、母親そっくりのVF(ヴァーチャル・フィギュア)を購入する。
青年は母子家庭で育ち、これまでずっと母親と二人で暮らし、友人や女性との人間関係は築いてこなかった。自分のことも他人のこともあまり考えていない自分について、さして気に病むでもなかった。母親さえいれば、虚実は問わず彼に必要な自尊心は保たれていた。
母親の死後、これからは一人きりで食卓に座り、購入したヘッドセットを着け、ヴァーチャル・フィギュアの母親と会話し、一緒に生活しようというわけだ。
青年の職業はリアル・アバター。ゴーグルを通じて顧客の命令どおりに行動し、屈辱的なケースでも言いなりにならねばならない。資格や技能は必要とされず、登録会社に個人事業主として契約しているため収入は不安定であり、住居や生活費は旅館の下働きをする母親に頼った暮らしだった。
「自由死」が合法化された社会の風潮では、年老いて働けなくなった母親が息子に遺せる唯一の財産は自死という選択であった。
「もう十分」ー それが人生の幕を閉じる彼女の言葉だった。
青年は、自分の存在を失った。彼の存在と価値を認めてくれる唯一の存在がいなくなってしまったのだ。
「もう十分」という言葉 ー 「自由死」の選択、それは何を意味するのか。
決して自分という子どもを見捨てたわけではない、自分という子どもへの愛のために生涯を送ったのだ、と母親にそう言って欲しかった。そして自分という人間には特別な価値があるのだ、と今までどおり、いつものように微笑みながら言って欲しかった。
購入したヴァーチャル・フィギュアと暮らし、母親そっくりに「育てる」ために日々の会話を繰り返し、やがて“母親そのもの”に再現できたなら、母親の代わりとなって自分の期待に応えて欲しかった。
喪失感に打ちのめされ、彼はヘッドセットが映し出す“母親”に語りかける。

映画『本心』(2024年) より
しかし彼は、70年を生き抜いた彼女について、彼女の“母親“の部分しか知らないことに愕然とする。
ヴァーチャル・フィギュアで“母親そのもの”を再現し、何層にも重なったその人生を語ってもらうには、あまりにも情報が欠如していたのだ。
そして彼は、自分よりも“彼女”についてよく知っている人々がいること、自分が知らない母親の顔がいくつもあることに、ようやく気づき始める。
その気づきが、青年にようやく訪れた自立への目覚めであった。
このヘッドセットを利用しても、館主が岡ひろみになることはできないが、
せっかくなので他のヘッドセットの可能性についても調べてみよう!

小説『雲南省 スー族におけるVR技術の使用例』(2016年 S-Fマガジン)
我が目を疑う衝撃のペンネーム 柴田勝家
中国雲南省の少数民族スー族では、産まれてすぐに彼ら独自のヘッドセットをつけられ、そのまま一生を過ごす。
彼らがVR(ヴァーチャル・リアリティ)を通して何を見ているかは謎である。
常にヘッドセットをつけているので、生活には色も装飾も意味がなく、住まいは簡素であり、スー族の伝統衣装はといえば、独特な装飾を施したこのヘッドセットのことを指す。
年頃になるとVR空間でアバターを通じて恋愛をし、触れ合うこともできる。
めでたく婚姻にいたり、いざ子作りとなると肉体を使ったセックスが必要になってしまうのだが、両者ヘッドセットをつけたままなので、顔や体型に対するコンプレックスに意味はなく、肉体とは生殖行為をする装置のようなものである。
山奥の秘境にいながら、スー族は彼ら独自のヘッドセットによって充足した生活空間と自由恋愛を実現している。
驚くべきことに、死後も彼らのヘッドセットには特別なVR世界が存在し、死者と生者がシームレスに行き来している。
死者は純粋な情報 ー彼らの説明によれば「点と線」ー として存在しており、生者とも普通に会話ができるという。
彼らは「点と線」という情報だけで、肉体に支配されない生を手に入れることを実現しているのだ。
ヘッドセットが放つ「点と線」という信号によって、スー族の人々が頭の中でどのような現実を描いているのか、我々にはわからない。だが、それは間違いなく彼らが生きている、羨ましく豊かな現実世界ではないのか。
これだけ至れり尽くせりの一生もののヘッドセットをつけていれば、岡ひろみになることなんぞに意味はない。
「点と線」だけで、まるで「悟り」を体得しているかのようなスー族の静謐な世界。
では、悟りとはいったいどういうものなのか、引き続きペンネーム柴田勝家先生に教えていただこう!

ー すべて同じだ。何回やり直しても、同じ苦しみを繰り返す ー
小説 『アメリカン・ブッダ』 (2020年 ハヤカワ文庫JA)
仕事場はメイド喫茶 ペンネームは柴田勝家
“大洪水”ー黒くて不気味な死の波ー がニューヨークに降り立ち、西へ西へと進路をとり、やがてアメリカ全土を襲い、アメリカの大地は壊滅的な被害を受けた。
〈アメリカ人〉の多くは、巨大企業が創った「Mアメリカ」という架空世界に避難した。
「Mアメリカ」ーMental Americaーでは、現実の肉体は水槽の底に横たえたまま脳を凍結し、精神だけにアバターを纏わせて、コンピューターに作られた空間を時間の制約もなく自由に飛び回れる。その精神活動スピードは現実世界の16万倍である。
そして「Mアメリカ」ー精神的アメリカーでは、現実世界で1日が経つうちに、400年以上が経っているとされる。
1日が400年以上
1ヶ月が1万2千年以上 1年が14万6千年以上
50年で730万年以上 80年で1,168万年以上
20回のうるう年20日8,000年をプラスして1,168万8千年以上
人生100年なら1,460万+うるう年25日1万年で1,461万年以上
↓
これに精神活動スピード16万倍で、2,337,600,000,000年以上???
(⚠️館主の計算はまちがっている可能性があります)
この計算がまちがっていても、とにかく「Mアメリカ」の市民〈アメリカ人〉は、ほどんど不死といえる生命を手に入れたと感じていた。
〈アメリカ人〉は、新しいアメリカを発見したのである。
Mアメリカ市民たちは無制限の時間と空間を手に入れ、精神世界で自分の理想どおりの世界をつくり、永遠の安寧を手に入れたと感じていた。
肉体のある人間が、生きて病み、苦しみ、時間を消費し、死を迎えるという逃れられない運命から逃げられた、と感じていたのである。
そして〈アメリカ人〉が精神世界の「Mアメリカ」へ逃げてから約三千年。
現実世界のアメリカの大地、西部カリフォルニア州の保留地に生き残ったインディアンアゴン族の青年〈ミラクルマン〉が、Mアメリカ市民に語りかけてきた!
〈ミラクルマン〉のようなインディアンがMアメリカ市民として迎え入れられることはなかった。〈アメリカ人〉は、「Mアメリカ」に避難している間は「一時的にアメリカの土地を彼らに返却している」、という手前勝手な理屈を良心の表れであると精神世界で解釈していた。
そんなMアメリカ市民たちが横たわる水槽設備の施設「Mアメリカ」をぶっ壊すどころか、現実のアメリカで警備しMアメリカ市民を守り続けていたのは、アメリカの大地で生き残った〈ミラクルマン〉らインディアンたちであった。
アゴン族の青年〈ミラクルマン〉は、仏陀の教えでもあるアゴン族の教えについて語り始める。
地上で生き残ったアゴン族に語り継がれる「生・老・病・死」の四苦を含む生きる上で避けては通れない根本的な四苦八苦、「因果応報」「六道輪廻」といった彼らの観念は、勝手気ままな精神世界を億年単位で生きるMアメリカ市民にとっては無縁に思えた。
では、なぜ〈ミラクルマン〉はMアメリカ市民に語りかけてきたのか?
アゴン族の教えにはー 奇跡 miracle ーなどというものはない。
〈ミラクルマン〉はMアメリカ市民に語り続ける。
〈アメリカ人〉が大地から逃げた後、大地に残った彼らがどう生き抜いてきたのかを、そして、彼らの手により現実世界のアメリカが大きく「変化」しつつあることを。
〈ミラクルマン〉の「変化」という言葉に、Mアメリカ市民は戦慄する。
パニックを恐れた彼らは、次に用意されたさらなる逃げ場所を選ぶ。
やがて現実世界の三十年後、「Mアメリカ」での五十六億七千万年の後、
ようやく一人のMアメリカ市民が目覚めることを決意した!

天上天下唯我独尊
ー「悟り」とは、輪廻を断ち切って二度と生まれ変わらないこと
「完全なる消滅」である ー
小説 『弥勒戦争』 著者 山田正紀 (1975年 早川書房)
〈弥勒〉とは、仏陀(釈迦)入滅後、五十六億七千万年を経てこの世に現れ、仏陀の教えを再興し、衆生を救済する未来仏とされている。
空襲の焼夷弾の雨の中、一人の〈独覚〉が泣き喚いた。
「俺たち独覚にはこの悲惨から人々を救う力があるのに・・・!」
〈独覚〉は、人間を救けてはならない。なぜ救けてはならないのか。
救けることはできるが、救けてはならない。
〈独覚〉独りで覚る ー 自利のためだけに「さとり」を得る ー
この掟を破れば、さらに大きな悲惨をこの世に招くとされている。
独覚一族の掟、いや天命は「必ず滅びること」そして「弥勒を倒すこと」である。
五十六億七千万年という、あまりに遠い未来仏、弥勒。
独覚一族にとって〈弥勒〉とは、救済仏とされる一般通念とは異なる、恐るべき悪しき存在であり、歴史上の大量殺戮者として頻繁にこの世に誕生している。
そして〈独覚〉の血を受け継ぐ者は皆、〈弥勒〉になる資質 ー 超常能力 ーをもっている。
この世には菩薩も阿羅漢も存在しない。大量殺戮者にならなかった〈独覚〉と、大量殺戮者になった独覚〈弥勒〉がいるだけだった。
人々の悲惨に泣き喚いた独覚の青年は滅することなく終戦を迎えた。
間もなく昭和25年6月25日、38度線を越えて朝鮮戦争が勃発した。
〈弥勒〉と〈独覚〉の死闘が始まった。
地球の誕生から46億年、うまくいけば地球の寿命はあと50億年ある。
だが10億年後には、太陽の巨大化による熱で干上がり、地球から水が消滅するといわれている。
そう、太陽は眩しい。
眩しいときには、サングラス。岡ひろみにもサングラスが必要だ。

ー サングラスさえかければ、
この街ではどんなヒーローにでもなれるぞ!ー
映画 『フリー・ガイ』 (2021年 アメリカ) ショーン・レヴィ監督
VRオンライン・ゲーム「フリー・シティ」のモブキャラ銀行員として、来る日も来る日も同じ生活を繰り返す青年ガイ。
クローゼットの中身もすべて同じブルーの半袖ワイシャツ。テレビから流れる天気予報は“晴れときどき銃弾の雨”。でも可愛い金魚も飼ってるし、一緒にコーヒーを飲むモブキャラ警備員の親友もいる。ガイにとって「フリー・シティ」は楽園、モブキャラとしてハッピーな毎日を繰り返していた。
モブキャラであるガイは、プレイヤーがいないノンプレイヤーキャラクター(NPC)。言わばいつも変わらない背景のひとつでしかない。プレイヤーが操作するキャラクター“サングラス族”は「フリー・シティ」でやりたい放題の大暴れ、ガイたち“モブキャラ”になど目もくれない。
ある日、ガイは街で見かけた“サングラス族“の女性に恋をしてしまう。だが、モブキャラであるガイは彼女に話しかけることさえできない。
そこでガイは奇想天外なアイデアを実行に移す。自分もサングラスを手に入れて、モブキャラから“サングラス族”になればいいのだ!

ヘンリーネックでレベルアップ!!
“モブキャラ”のガイが、「フリー・シティ」で自我に目覚め、プレイヤーのいない自由な ”ブルーシャツ・ガイ“に生まれ変わった!
シャツはワイシャツからヘンリーネックに、コーヒーはクリームと砂糖2つからカプチーノに、自分の意思をもって選びはじめ、実戦を繰り返し戦闘能力も身につける。
現実世界のモブキャラ諸君、館主と一緒にフリー・シティでサングラスをかけてみよう!

館主はグラサン・岡ひろみに変身だ!
燃えサントラ&泣きロック酒場
新橋人形の館 ホームページはこちら
yakata-ningyou.webnode.jp
ヘヴィメタルを含むロックなどを軽く流しております
館主 いとう がお待ちしております